私がS典礼に不信感を持った理由
近所にこの地域では大手のS典礼という葬儀社の新店舗(?)ができた際、オープニングセレモニーとして家族葬の説明会が行われた。
それに参加をした私は、説明会後に『敢えて』互助会の勧誘を受けた。
互助会に入る気はさらさら無かったが、葬儀全般に興味があったので何か情報が得られるかもと思ったことと、どんなセールストークをしてくるか見てみたかったのだ。
話を聞いたのは、私よりいくつか歳上と見られる女性。葬儀に直接携わる人ではなく、互助会のセールスマンと思われた。こういうのはたいてい分業であろう。
セールスマンは、1件入会させてナンボ・・なんだろう。
互助会に入る気など無いことを見透かされていたのか、ものすごくグイグイ攻めてくるわけでもなかったが、一通り話しを聞いた。
その中で、私が「この先も絶対にこの互助会には入らないぞ!」と心に決めた話があった。
それは『エンバーミング』について。
『エンバーミング』については6/29の記事でチョロッと触れたが、まだまだ世間一般には知れ渡っていない言葉だと思う。
「エンバーミングって知ってる?」と知り合いに言ってみても「なにそれ?」と言われるのがオチだ。
『エンバーミング』とは、簡単に言ってしまえば、遺体の防腐処理のことである。
動脈を一部切り、そこから薬液を注入し、圧力によって血液を押し出すようだ。
100%の血液を防腐剤入りの薬液に交換できるわけではないので、永久に腐らないということはないだろうが、施術をされた遺体は血色が戻り、『生き生き』とするらしい。
私はまだエンバーミングを施された遺体を見たことがないので、どれくらい蘇るのかわからないが、目を開けそうな遺体というのも妙なものである。
しかし、若くして亡くなった人とか赤ちゃんとかなら、「もう一度生きている姿を見たい!」と思う親心は理解できるので、エンバーミングを否定するつもりはない。やりたい人はやればいいのである。
ただ、それを葬儀社が勧めるのはいかがなものか?
セールスマンのおばちゃんは、この葬儀社はエンバーミングを15万円で承ると言った。
私が「どれくらいの人がエンバーミングをするのですか?」と質問したら、「80%の方がやります」と言った。
これは嘘だと思った。私は結構たくさんの葬式に出てきたが、エンバーミングをされたご遺体を見たことがない。
前述したように、『エンバーミング』という言葉さえ知らない人が大半なのだ。
それなのに、この葬儀社で葬儀をおこなった80%がエンバーミングをしたというのが本当なら、「今は皆さんされていますよ」「綺麗なお顔にしてさしあげたら故人も喜ばれますよ」などと言いくるめて、やらない人はケチみたいな空気を作っているに違いない。
私は、エンバーミングを否定はしないが、自分及び自分の家族にするつもりは全くない。
だけどこの葬儀社で葬儀をしたら間違いなく勧められて、断る自信はあるが、イヤな雰囲気になること必至である。
実は、私がこの半年余り熱心に終活セミナーに通っている葬儀社(Sセレモニー)の人にこの話をしたところ、「あのS典礼は、エンバーミングの自社施設を持っているんです。エンバーマー(エンバーミングをできる特殊技能を持った人)を抱えているから、なるべく利用してもらいたいのでしょう。」とのこと。
また、「エンバーミングなんて通常はしなくても大丈夫ですよ。うちでは勧めませんし、やった人はほとんどいません。」とも。
やっぱりね・・・と思いましたよ!
エンバーミングをやるやらないは遺族の自由である。
だが、やるのが普通みたいにやる方向に誘導する葬儀社は金儲け主義としか言えないのではないだろうか。